2 研究炉の一般的な現状

 研究炉は中性子を利用するのが目的の一つなので、中性子を出来るだけ多く取り出すことが出来るように設計されており、熱出力は低い(1W〜100MW;発電炉は300MW以上)。

中性子を利用するために、照射孔や実験孔が多く設けらている。しかし使用目的によって炉の型式や運転形態が多様であり、1998年までに468基の研究炉が先進国は勿論のこと開発途上国にも広く分布して建設されている。このうちの約220基はすでに原子炉停止または解体されており、また現在運転中(248基)の原子炉の多くも老朽化とともにいずれ廃止措置の対象となる。 図1 に現在稼働している研究炉の年齢(使用経過年数)を示す。これによれば30年〜40年経過しているものが多く、10年程度後には運転停止になるものが多いことになる。 図2 に稼働している研究炉の基数を年毎に示すが、先進国で基数が大きく減少し、途上国でも伸びは頭打ちである。

日本には現在15基の研究炉がある(臨界実験装置を除く)ことになっているが、共同利用されているものは 表一 に示すようにその内8基である。その数は決して少なくないように見えるが、半分以上は大きな問題を抱えているのである。

 

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