5 「研究炉機構(仮称)」(?)

 日本原子力産業会議では1998年春から「研究炉に関する検討懇談会」を作って検討を重ねているが、1999年3月に中間報告書を発表している。今年の3月には最終報告書が出される予定である。その中で、現在研究炉に必要とされていること、言い換えれば図6に示されるような健全な研究炉利用に向けて、「研究炉機構」を設立することを提案している。以下、当該報告書の要旨からの抜粋である。

 

これまでは、研究炉に関する取り組みは個々の設置者の努力にのみ委ねられてきた。しかし、これからは、研究炉は社会共通の資産であるとの認識を新たにして、全日本的な視野で研究炉の問題に対処すべき時代に入ったとみるべきである。最近行った海外調査でも、我が国のこのような問題に対する対策の遅れは明らかとなっている。

我々は、これらの課題に早急に対処するために「研究炉機構(仮称)」を設立することを提案する。「研究炉機構」は、研究炉の利用(教育・人材育成、理工学における利用、民生利用など)を総合的に促進するために、管理・運営について必要と考えられる支援を、公的資金と民間資金を運用して行うものである。そこでは以下のような多様な業務が行われるであろう。

  1 研究炉利用を総合的に促進すること

  2 現有研究炉の内必要なものについて、国の方針に基づいて管理・運営を支援すること

  3 研究炉の維持・管理に関わる諸問題について調査・提案、必要な施策を遂行すること

  4 バックエンド問題や新しい研究炉計画等について調査・提案すること

 

このような研究炉機構は持続可能な原子力依存社会のインフラストラクチャーとして、社会の安全を支え、かつ豊かな中性子利用を展開していく基礎となる。( イラスト があります)

 

 (次は第6節、最後です