太古からの放射線と人工の放射線

大地や食べ物に含まれる放射能は、どこからくるのでしょうか?

ビッグ・バン模型と呼ばれる理論によれば、140億年という気の遠くなるような昔、時空が大爆発して宇宙が生まれました。その時の宇宙には素粒子の階層の粒子が放射線として充満していましたが、それらが原子核になり、さらに原子になりして、物質の階層を進化してきました。そして物質が集まって星を作っていくわけですが、46億年前に地球が生まれたのです。そのときまだ残っていた放射性同位元素が地球の中に取り込まれました。また、このころ銀河系における超新星の爆発の頻度が高く、そのときに放散された中性子によって多量の放射性物質が作られ、それが地球に取り込まれたとも云われています。これらの放射能の多くはどんどん減っていって無くなりましたが、ウランやカリウム-40(K-40)などの寿命の長い放射性同位元素は、無くならないでまだ残っているのです。半減期が12億年のカリウム-40も、地球が生まれてから現在までに大部分消えてしまいましたが、まだ6%ぐらいが残っています。

このように寿命が長くてまだ地球の大地に残っている放射性同位元素には、K-40の他にウランやトリウムの仲間など、15種類ぐらいあります。これらの放射性同位元素が私たちの住んでいる大地から放射線を出します。一部は植物に取り込まれ、食物の形で人間の身体に入ってきます。人間の身体には0.14g のカリウムがありますが、そのうち 0.01% が K-40 です。この人体中の K-40 は毎秒4,000回崩壊してガンマ線を出ています。人体から毎秒数千個という放射線が出てきているなんて、目で見えたとしたら人体からオーラが放出されているような感じなのでしょうか?。

原水爆実験が盛んに行われていた頃やチェルノビル原子力発電所の事故があったときは、ストロンチウム-90やセシウム-137のような人工の放射能が地球にばらまかれました。この人工の放射能はまだ残っていますが、急速に少なくなっています。