シーベルトについて (もう少し)

放射線の量は、物質に吸収された放射線のエネルギーの総量で表され、物質1キログラムあたりに1 J (ジュール)のエネルギーが吸収される場合を、1Gy(グレイ) と定義しています。

    1 Gy (グレイ) = 1 J /kg

ジュール という単位もふだん馴染みがありませんが、 1W の電力を1秒間使用したときのエネルギーが、1J です。あるいは、1ジュールは 0.24 カロリーです。

    1 J = 1 W・s

    1 J = 0.24 カロリー

1 Gy の放射線は、1 kg あたり 0.24カロリーのエネルギー吸収になります。人体の大部分が水ですから、水(比熱は 1 カロリー/g・℃)を例にとると、 0.00024℃温度が上がることになります。

このように、放射線のエネルギーを熱に換算してしまうと、とても小さなエネルギーですが、1 Gy の放射線量は人体に対しては無視できない影響を与えます。それは、放射線がイオン化励起などの放射線特有の作用をするためです。


ところで、人体が放射線を浴びたとき、 Gy(グレイ) で表した放射線の吸収量が同じでも、放射線の種類や放射線を浴びた臓器によって生物学的な影響が違います。このような生物学的な効果の違いを考慮に入れて実効的に定められた単位が Sv (シーベルト) です。日本語で 実効等量線量 と呼ばれています。

いかにもむつかしそうな呼び名ですが、ガンマ線やX線を全身に浴びるという、一番よく起こるケースでは、1Gy の吸収線量では 1 Sv の実効等量線量にあたります。