発ガンの機構について

放射線の照射でガンが発生する理由は色々考えられていますが、よく分かっているわけではありません。

放射線が突然変異を誘起することから、放射線で細胞に突然変異が起こり、その細胞がガン細胞に転化するという考えが古くからあります。放射線によらず、発ガン物質と呼ばれるものはほとんどが突然変異を引き起こすことが出来ることを考え合わせると、放射線によるガン化は他の物質によるガン化と共通しているものがあると想像されます。

実際、多くのガンは、放射線によって生じたものなのか、他の原因によって生じたものなのか、区別することは困難です。ある報告によれば、

1日20本のたばこを1年間吸い続けた人の発ガンの確率

70〜280ミリシーベルトの放射線を浴びた人の発ガンの確率

であるとされています。


(注意)

低線量の放射線の効果を考える際、上のように○○ミリシーベルトの放射線を浴びた人の発ガンの確率はいくつだ、という時には、放射線が悪い作用のみするという前提で計算されていることに注意しましょう。

(すぐ後で説明するように、)放射線には人体を活性化させるという別の効果があるとすると、この前提は成り立たなくなります。