放射線に対する過剰な恐怖症

放射線の量は限りなく少ない方が良いという考えが行き渡った結果、放射線をむやみに怖がる風潮が一般の人たちに広がるという逆効果も起きています。

こんな逸話があります。

学生B君が放射能を取り扱う実験をしていて、誤ってわずかの量の放射能が皮膚についてしまったのです。GM管で測ると、ピーピーピーと音がします。B君はGM管がこんなに大きな音を立て続けに出すのを初めて聞いたので、青くなってしまいました。幸い水で洗って放射能は直ぐに取れたのですが、その晩は食事も喉を通らずに寝込んでしまうほどショックを受けました。

B君が元気を取り戻したのは、GM管があのようにピーピー鳴っても、浴びた放射線の量は0.1ミリシーベルトも無かったこと、言い換えれば、1回のX線間接撮影で受ける放射線の量の1/10も浴びなかったことを知ってからでした。

GM管の感度はとても良いので、人体に影響の無い程度の放射線の量でも大きく反応して、放射線のことを良く知らない人をとても怖がらせる事が多いのです。

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