古文化財の修復

大昔の木製の仏像などは、材質が古くぼろぼろになっています。このような古文化財を保存するためにはぼろぼろになった木質を残しつつ補強するという特殊な技術が必要になります。この技術にも放射線が使われるのです。 弱くなった木質を補強するために、プラスチックスの材料をしみこませて放射線を照射すると、プラスチックスが固定材となって崩れることを防ぐことができます。また、壊れた部分に新しい木質をあてがって補強することもありますが、古くなった材質に馴染ませるために、新しい木質にわざわざ放射線を照射して木質を人工的に古くしてやるというということも行われます。

新薬師寺の多聞天像(下の図)の修理後の写真。右上が修理中の左袖の部分。図の白い輪のように見える部分が、放射線を照射した桧の材料です。

図は「放射線と産業」(放射線利用振興協会)から引用

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