核変換によるドーピング

核反応が起こると元の元素は違う元素になってしまうのが普通です。中世のヨーロッパの錬金術師が描いていた夢が核反応によって実現しているとも云えます。

例えば、シリコンの原子に中性子が吸収されると、原子が不安定になり、それがベータ線を出して壊変してリンになります。ですから、シリコンの単結晶に中性子を適当な量照射してごく僅かのシリコンの原子をリンに変えてしまうことができます。シリコンにわずかのリンを入れることは半導体の特性を制御するために重要です。そのためには、シリコンの単結晶を成長させるときにリンを外から拡散させてやる方法(上半分の図)もとられますが、中性子照射を用いる方法(下半分の図)は、自由にしかも均一にリンを入れることが出来るので、品質の優れた半導体材料が得られる良い方法です。

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