伊藤伸彦(北里大学)先生

私たちは、馬の血液の量と代謝を測るために、放射化分析を使っています。たとえば、馬が安静にしているときと運動しているときとの血液の循環を調べるのです。

そのために、安定同位体(放射能を持っていない)の一つ Cr-50 を血液に混ぜておきます。馬のいろいろな状態のときに採決した血液を原子炉で照射してやると、Cr-50 が中性子を吸って放射能を持つので、その放射線を測定すれば、血液の代謝が分かります。血液の試料を採取してから放射化分析するので、馬の体内を血液がめぐっている時は放射線はありません。

このように、放射能を持たない同位体をトレーサー(前に出てきましたね、覚えていますか?)とし、後で放射化して測定する方法のことを、 アクチバブル・トレーサー法(放射化出来るトレーサーという意味)と云います。