立教炉利用共同研究25年記念講演会 の記録

 2000年3月15日 於東京大学 山上会館

講演会は午後1時から始まりました。

最初のセッションでは、小林紘一先生(原子力研究総合センター)の司会で、東大・原子力研究総合センター長、立教大学総長(代読)、中原弘道都立大学教授(利用者代表)のご挨拶がありました。(スナップ写真

 

次のセッションでは、「立教炉利用共同研究25年の成果」と題して、主だった分野の代表の方々から成果のリビューがありました。

報告はまず、「立教炉共同利用の成果報告」と題して立教大学原子力研究所の活動の概括について原沢進氏からお話があり、次いで、放射化分析について平井昭司氏(武蔵工業大学)、松尾基之氏(東京大学)のお二人が、ホットアトム化学について荘司準氏(筑波大学)、フィッション・アルファ・トラック法について大平寛人氏(島根大学)、放射線応用として森千鶴夫氏(元名古屋大学・現愛知工業大学)から分野ごとの報告がありました。どのお話も、25年間を総括するには時間が足りないという感じでした。(スナップ写真)このセッションの司会は、片山幸士(京都大学)と海老原充(都立大学)両先生でした。

 

次に2つの講演がありました。最初は有馬朗人・元東大総長による「理科教育と原子力」という講演(司会:鈴木正男 立教大学教授)で、最近理科教育の質が落ちていると云われているが、低学年では決してそのようなことはないこと、しかしながら高校、大学と進むと確実に質が低下しているということから始めて、JCO事故をはじめとする最近社会的に見られる大きな事故の性質を分析し、原子力においても今後ますます大学における教育に力を入れなくてはならないと強調されました。(スナップ写真

伊藤泰男・東大原子力研究総合センター教授による「研究用原子炉の今後のあり方について」と題する二番目の講演(小林久夫 立教大学教授)では、研究炉は原子力教育のためにますます必要であるだけでなく、理工学や民生・産業における中性子利用でも欠かせないものになっているとして、持続可能な原子力依存社会のために「研究炉機構」のようなものを作って活性化を図っていく必要があると強調されました。(スナップ写真)[ここから、この講演に関連した資料「社会の安全と中性子利用展開のための研究用原子炉」にリンクします]

 

以上2つの講演の後、秋山守・東京大学名誉教授が日本学術会議・原子力研究連絡委員会委員長のお立場でご挨拶がありました。これは、25年前に立教炉共同利用が開始された経緯には当時の学術会議のご指導が厚かったことを受けたものです。最後に、松本良・東大教授(理学系研究科)が立教大学原子炉利用共同研究委員会委員長として閉会の辞をもって締めくくりました。(スナップ写真

講演会の全体風景集

 

講演会は6時少し前に終了し、直ちに懇親会に入りました。近藤センター長のご挨拶のあと、服部学・元立教大学原子力研究所長の音頭による乾杯で、あたかも同窓会のようななごやかな時間が始まりました。(懇親会のスナップ写真集)あまりになごやかで、立教炉の利用中止を悼む会であることを忘れそうになりました。皆さん、まだ本当の終わりではないのだと思っておられたのかもしれません。

 

利用者の皆様、

立教大学当局、立教大学原子力研究所の方々

東大・原子力研究総合センターの担当者

立教大学原子炉利用共同研究委員会委員

皆様、長い間のご活躍ごくろうさまでした。