研究成果名

日本の環境におけるヨウ素-129レベルの把握

研究成果の概要

放射性ヨウ素I-129は半減期が1600万年と長いため、一旦環境に放出されると、長期間にわたって環境にとどまり、人に影響を与えるレベルにまで達するおそれがある。また、ヨウ素は甲状腺に濃縮するので、その影響は非常に懸念されるところである。しかし、I-129はγ線を出さないため、直接測定が困難である。そこで、中性子放射化分析で測定する方法を確立し、極低レベルの測定に成功した。

青森、栃木、熊本、茨城の各県の牛、および千葉県の野生の鹿の甲状腺と関東在住の人の甲状腺中のI-129を測定したところ、欧米に比べて、牛や鹿の甲状腺の中のI-129レベルは同程度であるが、人の甲状腺ではかなり低いレベルであることがわかった。これは、日本人が要素を豊富に含む海藻を常食としているためであることが予想される。

研究成果の国民生活・経済への寄与の内容

日本人の食生活において、海藻を多量に摂取することが、放射線影響の低減化に役立っていることがわかった。

成果に関する国際的な評価

低レベルの放射線影響に関する国際会議において高く評価された。

その他

原研施設利用共同研究の中の一課題。

(研究代表者:関李紀 筑波大学)