研究成果名 |
-10-15g/g以下の不純物を保証する事に成功 |
研究成果の概要 |
太陽風とは太陽表面から放出される荷電粒子であり、その元素組成は太陽の元素組成に近似的にに等しい。これまで太陽系の元素組成は隕石の化学分析値と太陽光球のスペクトル分析によって推定されてきたが、いずれも間接的な数値であり、直接組成を求める可能性が考えられてきた。太陽風の元素組成から、太陽の元素組成を求める試みがアメリカのカリフォルニア工科大学のD.Burnettを中心に計画され、NASAの援助のもとで具体化されてきている。著者はこの計画に海外からの研究協力者として参加している。 |
研究成果の国民生活・経済への寄与の内容 |
太陽風の元素組成から太陽系の元素組成が直接求まることに対する寄与については、行き着くところ、国民(この場合は日本に限定されない)全体の知的財産と言うことになろう。但し、上で述べていることはその準備段階として、素材の分析をすることにより、極限レベルの不純物の分析法を確立したという点であり、その点ではより具体的な寄与があり得る。例えば昨今の素材の高純度化に対して、その評価を与えることのできる分析法として機能することができる。放射化分析は他の分析法にはない、分析値に対する絶対的な信頼性があり、’極限的’レベルでの分析値の値付けに対して、唯一機能しうる方法である。 |
成果に関する国際的な評価 |
太陽風を捕集し、地球に持ち帰る計画は「genesis」ミッション計画として、アメリカNASAのディスカバリー計画に採択された。その段階で、いわゆるfeasibility試験をいろいろな角度から行う、いろいろなレベルでの評価を受けた。Genesisミッション計画がディスカバリー計画の一つに取り上げられた要因の一つに、ここで述べた素材の評価の結果、及び分析法の信頼性が大きく寄与したことは疑いない。なお、この評価は、この計画がアメリカの計画であり、従って主としてアメリカ国内のものであり、国際的な評価については、具体的に太陽風の分析が行われてから得られるものと期待される。現時点で得られている研究成果については、現在論文を作成中であり、国際誌に投稿を予定している。 |
その他 |
原研施設利用共同研究 (研究代表者:海老原充 東京都立大学) |