研究成果名

固液界面でのランタノイド(V)のミクロ構造に関する分析/
レーザー誘起蛍光寿命測定の適用に成功

研究成果の概要

アクチノイド(V)のアナログとしてのランタノイド(V)について、固液界面でのミクロ構造をレーザー誘起蛍光寿命スペクトルの精密解析から推定した。イオン交換体や酸化物粒子表面に吸着したランタノイド(V)の残留水和構造をで観測し、界面でのイオンの配位構造が溶液中の状態と大きく異なることを明らかにした。ミクロ構造が水溶液中での高分子錯体の生成によりどのように変化するかについても、同法により解明することが出来た。

これらの情報は溶液化学・界面化学・錯体化学・分析化学などの基礎化学領域における新たな学術成果として意義深いものである。また、金属イオン濃度が極めて低い領域での状態分析の適用という先端的研究であり、競合する米・独のグループを凌駕する成果と位置付けられる。

研究成果の国民生活・経済への寄与の内容

実験系は環境中のアクチノイドの環境挙動の精密予測に有用である。このため、放射性廃棄物の地層処分の安全性評価や環境放射能の動態に関する基礎データであり、国民生活に密接なつながりを有している。

成果に関する国際的な評価

上記研究に対する(国内・国際的評価)研究成果はこの分野で最も権威ある国際会議である International Conference on Chemistry and Migration Behavior of Actinides and Fission Products in Geosphereで公表し高く評価されている。

また、環太平洋国際化学会議、日露分析化学シンポジウムなどでInvited Talkとして紹介した。

学術論文としては、Radiochimica Acta誌やJournal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry誌などの国際専門学術誌の厳正な審査を通過し、公表されている。

また、Chemical Communications誌(英国王立化学会発行の総合化学速報誌)やEnvironmental Science and Technology誌(米国化学会発行の環境化学に関する専門学術誌)などにも成果の一部を公表している。

その他

大学・原研プロジェクト共同研究 バックエンド化学プロジェクト

(研究代表者:薬袋佳孝 武蔵大学)