研究成果名 |
ホヤによるバナジウム濃縮機構の解明 |
研究成果の概要 |
ホヤにバナジウムが高濃度に含まれていることは今世紀初めから知られていたが、その機構や生理的な役割は不明であった。そこで、国内外のホヤについて系統的な研究が10余年にわたって行われ、その結果、管鰓亜目のホヤで桁外れに濃度が高く、その後バナジウムホヤと名づけられたものの血球には海水中濃度の1,000万倍もの濃度でバナジウムが濃縮されていた。このようにバナジウムを濃縮している場所もシグネリットリング細胞と特定され、それはホヤの発生過程で変態後2週間目から出現し、同時にバナジウムの濃縮が始まることなどが見いだされた。 |
研究成果の国民生活・経済への寄与の内容 |
これらの研究から、バナジウムの濃縮に直接関与すると考えられる数種類のバナジウム結合蛋白質を抽出し、その遺伝子配列を明らかにするなどの研究に進み、海水中からレアメタルを分取する新しい高性能金属吸着剤の開発を展望するに至っている。 |
成果に関する国際的な評価 |
Michibata, H. and Kanamori, K., Selective Accumulation of Vanadium by ascidians from Seawater; in Adv. Environmental Sci. & Tech. Ed. Nriagu, J., John Wiley & Sons, Inc., pp.217-249 (1998) 日本動物学会賞受賞(1995年9月) 井上学術賞(1996年2月) |
その他 |
立教炉利用共同研究 (研究代表者:道端斉 富山大学、後広島大学) |