UTNL-W-0003J Section 2.5
2. 研究活動
2.5 ライナック運転管理部
[1] 構成
        教 授  宮 健三
        助教授  上坂 充
        助 手  古澤孝弘(平成8年6月転出)、渡部貴宏(平成8年6月採用)
        技 官  上田 徹
[2] 主な研究活動
(1) ライナック・マシンスタディ
上坂 充、古澤孝弘、上田 徹、渡部貴宏
 加速器技術の研究の一環として、制御系、加速系、測定系の多角的な面から、ライ ナックのマシンスタディを行っている。制御系では、時間ジッターの無い回路系の開 発を行っており、レーザーによるトリガーの伝送等の実験を行っている。加速系では 、ピコ秒パルスの発生に重要となるSHB(サブハーモニックバンチャー)の不安定性 及び入射器系における電荷量の増強を検討している。測定系では、アモルファスチッ プを使用した高性能非破壊プロファイルビームモニターの開発や、スクリーンの増強 を行っている。
(2) ツインライナックパルスラジオリシス法
上坂 充、古澤孝弘、上田 徹、渡部貴宏
  ツインライナックパルスラジオリシス法は、10ピコ秒の高時間分解で光吸収測定 を行うシステムであり、データの信頼性の向上を図るため各種の改良をすすめている 。また、赤外領域の測定を行うため、半導体レーザーを組み合わせた、LLツインライ ナックの開発・改良も行っている。さらに、サブピコ秒吸収パルスラジオリシスの基 礎実験も実施した。
(3) 放射線化学反応初期過程の研究
上坂 充、古澤孝弘、上田 徹、渡部貴宏
 炭化水素に、放射線を照射するとイオン化励起がおこり、その結果、電子、イオン 化、励起状態、ラジカルなどの各種の中間生成物ができる。これらの中間生成物の反 応挙動を調べるのが、放射線化学の初期過程の研究である。現在、飽和炭化水素やハ ロゲン化炭化水素に対して、パルスラジオリシス法を適用し反応素過程を調べている 。また、測定システムのS/N比の改善や、波長領域の拡大の為の光源や測定器の開発 も行っている。
(4) フェムト秒ライナックの基礎研究
上坂 充、古澤孝弘、上田 徹、渡部貴宏
 フェムト秒領域における放射線誘起による超高速量子現象の解明のために、フェム ト秒シングルパルスの生成を目的とした基礎実験を実施している。本年度は、偏向電 磁石2台、四重極電磁石4台から構成されるアクロマチィック磁気パルス圧縮システ ムを構築し、パルス幅0.9ピコ秒(FWHM)のシングルパルスの安定な生成に成功した。 電子銃モードの改良も行い、電荷量1nC/bunch、ピーク電流1kA以上を達成した。さら に、Xバンド(11.424GHz) 100フェムト秒10kAライナックの設計実施中である。
(5) プラズマによるビームの収束および加速
上坂 充、古澤孝弘、上田 徹、渡部貴宏
 ビームハンドリング技術の一環として、プラズマによるビームの収束及び加速の研 究を行っている。プラズマレンズと言われる概念は、プラズマとビームの相互作用に より、効率よくビームの集束を行うもので、ごく最近提案されたアイデアである。シ ングルバンチビームを使用し、その検証を世界で最初に行った。ビーム加速において は、ウェーバー場加速の実験を行っており、ツインライナックを用いたアクロマティ ック系の整備が完了し、ビームの加速を確認した。
(6) ビーム基礎技術
上坂 充、古澤孝弘、上田 徹、渡部貴宏
 一般的なビーム技術の発展を目標に、各種の基礎研究を行っている。デマルケスト 等のスクリーンモニターの基礎特性の解明や、次世代のビームストリークカメラ等の 開発を行っている。また、Xバンド加速器の入射器を念頭においた、短パルス(100ps) かつ光輝度な電子銃の開発を行なっている。