UTNL-W-0004J Section 1.4
(1)概要
本年度で共同利用を開始して12年目を迎え、加速器及び周辺装置のマイナーなトラブルはあったが、本年度もマシンタイムに大きな支障を与えるような故障は幸いにしてなく、共同利用は概ね予定通り消化した。
平成9年度はプロジェクト研究及び一般研究の募集を行い、採択を重照射委員会で行った。プロジェクト研究は上半期1件、下半期1件の応募があり、審査の結果採択された。一般研究については上半期15件、下半期13件の応募があり、全てのテーマが採択された。また平成9年度のマシンタイムは上半期、下半期ともに14週であった。安全審査は例年通り、重照射棟・設備安全管理委員会で行われ、全て問題なく審査をパスした。
設備面では7年度後半に設置された重イオンマイクロビーム分析装置、フーリエ変換赤外顕微測定装置、フェムト秒波長可変パルスレーザー照射装置、ピコ秒2次元蛍光測定装置から成る「ナノ領域動的現象解析システム」の整備作業が進められ、これを用いた研究成果も挙がってきている。重イオンマイクロビーム分析装置では、約1micron
x 1=
micronのビーム生成を実現するとともに、シングルイオンヒット装置も調整が完了した。また、バン・デ・グラーフ加速器にダストイオン源と実験用ビームライン及びチャンバーが試作され、夏と冬の2回ダスト加速実験が行われた。夏にはダストイオン通過による信号の検出に実験開始直後の数分間のみ成功したが、この段階では残念ながら安定したダストイオンを発生させることができなかった。9年度末から10年度初頭にかけて行った実験では加速管のマグネットを取り外すなどの改良を施したため、安定したダストイオンを発生させることに成功した。他では8年度に故障した多チャンネル分光器を更新し、新たに2台の多チャンネル分光器を導入した。この分光器を用いてイオンビーム照射下発光測定が再び可能になった。
(2)平成9年度の利用運転
バン・デ・グラーフ、タンデトロン共に上・下半期を通じてほぼ順調に運転が行われた。9年度共同利用研究テーマ一覧及び運転・点検予定表を表1、2、3に示す。
(3)保守及び設備改善等
バンデグラーフ:
1. 加速管部の永久磁石取り外し
2. イオン源交換
3. ドライブモータ・オルタネータのベアリンググリースアップ
4. ダストイオン源・ビームライン・チャンバーの試作
タンデトロン:
1. 加速管の真空漏れ補修
2. グリッドレンズのメッシュ交換