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「プラズマ/固体・液体界面における粒子輸送」の経過報告

テーマ代表者: 田中 知 (システム量子工学専攻)

1. 序

プラズマと固体との相互作用は種々のプロセスで構成されている。 この内、特に反射中性粒子の挙動と、表面ミクロシース構造について、 実験的、理論的検討を続けている。

2. 研究の進捗状況(装置の改良等を含む)

(1) 反射中性粒子の挙動

MAP (Materilas and Plasma) 装置を用い、 固体ターゲット附近のHα光を詳細に調べた。 その結果、10 eV 程度のの高温成分と 2-3 eV 程度の低温成分の2つの発光ピークで合成されていることが分かった。 前者は反射中性粒子の発光によるものと考えられる。 これらの発光強度の位置依存性を観測することによって 反射中性粒子の挙動についての知見を得た。 また、固体材料を変化させることにより、 分子状水素としての発生についての情報を得ることができた。 さらに Hα、Hβ 光強度比のターゲットよりの位置変化を調べることにより 励起レベルについて予備的検討を行った。

(2) 表面ミクロ構造の影響

表面に溝を切った固体ターゲットを用い、 スパッタ率の溝内部分布、溝方向での電子、 イオンフラックスをMAP装置を用いて実験的に調べ、 表面ミクロシース構造がそれらに影響している可能性を示した。 また、 表面ミクロ構造を取り入れたシース構造解析コードの作成を開始した。

3. 今後の予定

(1) 反射粒子の挙動について

MAP装置に差動排気を伴うチェンバーをさらに1つ設置し、 背ガス圧力が低い状態での実験が可能にする。 これを用いて反射粒子の発光を詳細に測定するとともに、 レーザー励起発光を測定し、 反射粒子のドップラーシフトを観察して速度情報を得ることとする。 シミュレーションについては励起レベルまでを考慮した 粒子輸送解析コードを作成する。

(2) 表面ミクロシース構造とプラズマ壁相互作用への影響

MAP実験をさらに進め、 溝などを有する表面ミクロ構造において粒子輸送挙動を詳細に調べる。 また、表面ミクロ構造を取り入れたシース構造解析コードの開発を進める。

4. 発表論文リスト

(A) 学位論文等

  1. 小林 一樹, 「プラズマ材料複合系における固体からの反射中性粒子に関する研究」, 東京大学大学院工学系研究科システム量子工学専攻修士論文, 平成10年3月.
(B) 国外学会誌等
  1. K. Kobayashi, S. Ohtsu and S. Tanaka, "Spectroscopic Study on the Reflected Neutarl Particles from the Copper Solid Surafce", Proceedings of the Sixth japan-CIS Workshop on Interaction of Fuel Particles with Fusion Materials (IFPFM6), Sepetember 8-9, 1997, Moscow, pp.100-117.
  2. K. Kobayashi, S. Ohtsu and S. Tanaka, "Spectroscopic Study on the Reflected Neutral Particles from Solid Surface", Journal of Nuclear Marterials (in press).
  3. K. Kobayashi, S. Ohtsu and S. Tanaka, "Study of Particle Reflection by Linear Plasma facility MAP", Fusion Technology (in presss).
(C) 国内学会誌等

Last modified: Wed Jul 29 03:00:35 JST 1998