1. 序
本グループは、レーザを用いた物理量の3次元時空間分布の把握や、 レーザによる材料のマクロな探傷解析、 熱変形解析などへの応用を考慮した、検討を実施している。 画像情報は2次元の情報であり、大量の情報を容易に得る事ができる。 このため、それらの情報の中から必要な情報を抽出する 技術が重要である。特に、画像解析により、 密度や変形量などの物理量分布を計測し、そこから 環境の情報を得ようとすることが可能である。 この応用研究の中から、 密度の3次元場計測、流速の3次元分布計測手法、 など3次元的な挙動を解析することを実施した。
2. 研究の進捗状況(装置の改良等を含む)
本年度の研究テーマとその内容は以下の通りである。 \paragraph{三次元密度分布計測} 核融合炉における真空喪失事故の評価、及び冷却材配管破断事故などの 安全評価においては、事故時に発生する気体の挙動を正確に 把握する必要がある。 このため、実験的、解析的に気体の挙動を評価することが重要である。 特に、気体の場合は温度差、密度差により非線形で複雑な 挙動を示す。 このような複雑な挙動を数値的にシミュレートするためには、 その基礎的な挙動を実験的に把握する必要がある。 本研究においては、密度差置換流や、密度成層流などの 基礎的な現象について、実験的な研究を実施した。 Nd-YAG レーザを用いたホログラム装置を製作し、 リアルタイムホログラム法やホログラフィックPIV法などの 実験を実施できるように装置を整備した。 特に、ホログラムを用いた3次元流速分布計測手法を応用し、 密度分布と流速分布を同時に計測する手法に関して実験を実施した。 また、3次元密度分布再構築手法に関する検討を行い、 3次元素密度分布という概念を用いることにより 精度の良い密度分布再構築が可能であることを示した。 \paragraph{三次元動画像解析} 液体金属ブランケット内の 冷却材などの流れを解明することは、 核融合炉設計上重要な課題である。 これらの流れは3次元的なものであり、従来の計測手法では 局所的なデータしか得ることが出来なかった。 しかしながら、 ロボットビジョンの検討で得られた画像認識システムを 用いることによって、3次元的な流れの状況を一度に取得することが 可能となる。 画像データは2次元情報しか持っていないため、 これらを組み合わせて3次元情報を構築するための アルゴリズムを研究する必要がある。 三次元流速分布測定手法としては、本研究によって開発した 粒子パターンの変形に対応した、 粒子画像流速測定アルゴリズムを高度化している。 さらに、このアルゴリズムを実際の 三次元的な流動場に適用する事を試みている。
3. 今後の予定
ホログラムによる3次元密度場流速場同時測定法を 確立するとともに、 核融合炉で想定されている真空破壊事故時の挙動を解析する。 さらに、ホログラムを熱変形のある場に適用し、 温度分布(屈折率変化)と変形量の同時測定の可能性に関して 検討を実施する。
4. 発表論文リスト
(A) 学位論文等