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「核融合炉実用材料へのトリチウム付着と能動的除染」の経過報告

テーマ代表者: 田中 知 (システム量子工学専攻)

1. 序

核融合炉システムで使用される多くの材料へのトリチウム付着挙動とその除染は トリチウム安全管理、計量管理、廃棄物管理の点より重要である。 これまでは付着機構に注目しての研究や能動的除染法の検討は少なかった。 ここでは、表面への付着機構の開明と 光励起脱離の有効性について検討することを目的としている。

2. 研究の進捗状況(装置の改良等を含む)

(1) 表面付着状態のFTIRによる研究
拡散反射法を用いて、温度、 雰囲気(D2O分圧)制御下で NiO、Cr2O3、 SSの酸化物、などの金属酸化物表面へのD2O吸着挙動を O-Dの伸縮振動を測定することによって明らかにした。 O-D伸縮振動の吸収ピークはブロードであり、 表面への吸着が一様でないことを示している。 また、その脱離挙動はO-D振動数依存性があることが分かり、 表面結合力との関係で整理された。

(2) 光励起脱離に関する研究
光を照射することによる脱離促進について2つの方法で研究を展開している。

3. 今後の予定

(1) 光励起脱離実験
上記2つの方法による研究を進め、 脱離挙動をミクロ、エネルギー移動的観点から明らかにする。

(2) AFMによる水吸着表面観察
バイアス法ダイナミックモード原子間力顕微鏡により 表面に付着した水を観察できる。 この手法を用いて、酸化物表面の水の吸着状況を観察し、 これまでの研究と関連させて、付着、脱離機構についてより深い知見を得る。

4. 発表論文リスト

(A) 学位論文等

(B) 国外学会誌等
  1. R. Ohmori, T. Yoneoka, M. Taniguchi and S. Tanaka, "Sorption and Desorption Phenomena of D2 and D2O on the Surface of Piping Materials", Journal of Nuclear Materials (in press).
(C) 国内学会誌等

Last modified: Wed Jul 29 03:48:11 JST 1998