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「照射による材料組織・強度特性変化の研究」の経過報告

1. 序

オーステナイト系、フェライト系の鉄鋼材料、Fe-Cu 等のFe 系２次元合金等について、照射による組織変化および強度特性変化についての研究を実施してきている。具体的には、微細組織変化とそれにともなう各種強度特性変化の定量的相関を明らかにするための実験的手法の開発、損傷組織発達に及ぼす外部応力効果の検討などである。

2. 研究の進捗状況(装置の改良等を含む)

基本的には数年前より設定し遂行してきた研究計画に従って順調に進捗している。材料の構造及び特性変化に対する照射効果の研究は本テーマの枠内では高エネルギー加速粒子を用いて、上記の諸材料に対して行われており、粒子線による重照射効果に加え損傷速度の効果、ヘリウム同時照射の効果、外部応力効果などの各種照射環境因子の影響について系統的に研究を行っている。これらの研究は、さらに高圧電子顕微鏡による電子線照射、原子力研究総合センターのHIT 設備での二重ビーム同時照射、JOYO、FFTM/MOTA、EBR-II などでの高速中性子照射などの結果とし連携して総合的な検討を加え、照射相関の問題について多くの新しい知見を得つつある。

3. 今後の予定

HIT 設備における二重ビーム同時照射実験に関連し、試料温度直接測定と測定の遠隔制御に関する部分について開発が完了した。本システムは測定精度の向上とともに実験効率の向上に大きく寄与している。さらに本システムを発展させるべく高速温度制御機構及び大容量能動加熱機構を計画しており温度精度面では大きな改善が計られようとしている。また、試料位置制御システムに関しても改良が進められ、一制御の精度が一段と改良された。

4. 発表論文リスト

(A) 学位論文等

1. 田口 亮介, 「熱処理によるBN ナノチューブの生成条件に関する研究」, 東京大学修士論文, 1998年3月。

1. Akira Kohyama, Yutaka Kohno et al., "The development of low activation ferritic steels for fusion application", Science Report of the Research Institute, Tohoku University, 45(1997) pp.137-141
2. Yutaka Kohno et al., "Mechanical property changes of low activation ferritic/martensitic steels after neutron irradiation", Eighth International Conference of Fusion Reactor Materials, Sendai, 1997, 30-30(1997).
3. Somei Ohnuki, Yutaka Kohno et al., "Collaboration study of transmutation effect on fusion candidate materials by means of thermal neutron irradiation", Eighth International Conference on Fusion Reactor Materials, Sendai, 1997, 303-30(1997).
4. Akira Kohyama, Yutaka Kohno et al., "Prodution of low activation steel, JLF1, large heats-current status and future plan", Eighth International Conference on FUsion Reactor Materials, Sendai, 1997, 30-30(1997)
5. Hiroyasu Tanigawa, Yutaka Kohno et al., "Applied stress effects on interstitial type Frank loop evolution in irradiated single crystal Fe-Ni-Cr", Eighth International Conference on Fusion Reactor Materials, Sendai, 1997, 30-30(1997).
6. Akira Kohyama, Yutaka Kohno et al., "The development of ferritic steels for DEMO blanket", Fourth International Symposium on Fusion Nuclear Technology, Tokyo, 1997, 115-115(1997).

1. 幸野 豊、香山 晃、鳴井 実、M.L.Hamilton, 「FFTF 照射した低放射化鉄鋼材料の衝撃特性」、 第121回日本金属学会講演概要、仙台、(1998)265。
2. 万 発栄、香山 晃、幸野 豊、高橋 兵七郎、 「低放射化鉄鋼材料(JLF-1)の溶接継ぎ手の照射組織」、 第121回日本金属学会講演概要、仙台、(1998)266。
3. 広瀬 貴則、幸野 豊、香山 晃、鳴井 実、加藤 雄大、 「中性子照射したJLF-1 鋼のシャルピー衝撃特性」、 第121回日本金属学会講演概要、仙台、(1998)275。
4. 小西 宏明、高 英輔、幸野 豊、香山 晃、 「SUS304L 鋼におけるα'マルテンサイト生成に及ぼす溶体化処理後の再加熱と磁場の影響」、 第121回日本金属学会講演概要、仙台、(1997)362。
5. 谷川 博康、加藤 雄大、幸野 豊、香山 晃、 「格子間原子型フランクループの積層欠陥解消過程に基づく照射下クリープ機構の検討」、 第122回日本金属学会講演概要、東京、1998、(1998)55。
6. 柴山 環樹、香山 晃、幸野 豊、D.S.Gelles、 「低放射化フェライト鋼の応力照射下組織安定性」、 第122回日本金属学会講演概要、東京、(1998)69。
7. 下園 忠弘、小西 宏明、幸野 豊、大塚 秀幸、柴田 浩司、門田 剛、小菅 通雄、湯山 道也、和田 仁、 「Fe-25.5%Ni-3〜5%Cr 合金のマルテンサイト変態に及ぼす前加工、熱処理および強磁場の影響」、 第122回日本金属学会講演概要、東京、(1998)139。