UTNL-W-0007J
Section 1.1

1. 大型設備の経過報告

1.1 原子炉「弥生」経過報告

1)H.10年度利用・運転について

昨年度同様の高速中性子科学研究設備開発用として、60kWh/2weeks運転を含め年間379.9kWhを消化した。(年間運転408時間17分)この間、燃料体検査及び第25回定期検査にも無事合格した。 しかし、平成10年12月11日にリレー劣化による自動停止(スクラム)が発生した。その後すべてのリレーを点検(4年経過のものは無条件に交換)を実施し、平成11年1月12日より運転を再開した。消化できなかった積算は次年度に繰り越す処理を行った。

2)運転スケジュールと利用実績

表1-1-1にH.10年度に係る年間運転計画書を示す。結果として、年間53週中24週(原子炉実習Bを含む)の運転を実施した。また、表1-1-2に同年度の全利用実績集計一覧を示す。

3)設備改善等

a.燃料体の定期自主検査の実施と積算熱出力管理値の倍増

6月に4年ぶりに検査を実施した結果、まったく異常(従来の変形の成長等)は認められなかった。この結果をもとに従来の積算熱出力管理値を1MWhから2MWhに倍増し、年度途中から年間0.4MWh(当初の4倍)とした。

b.制御棒駆動機構の分解点検検査の実施

全駆動機構(6体)の設備更新(1988年実施)以後、10年ぶりに全体の分解点検検査を自主(メーカなし)で実施した。分解点検の結果、ギヤ、軸受けベアリング、ボールスクリュー、スクラムスプリングといった機械的部品に問題となる腐食や摩耗劣化は認められず、部品レベルの洗浄グリスアップと予め計画していたリミットスイッチ等の電装部品の交換が主たる作業であった。

c.計画外停止発生に対する対応

保安規定の改定を含め現在科技庁と交渉を継続中である。

d.国際保障措置上の燃料体の再検認作業の実施

先に述べた燃料体の定期自主検査を実施した際に、保障措置上のHEU(高濃縮ウラン)としての再検認を行う必要性が生じ、9月にIAEA独自の中性子源と検認装置(AWCC:Active Well coincidence Counter)を持込み実施したが、残存γ線が高すぎて不成功に終わった。その後、東大側から代替案としてNU(天然ウラン)とHEU(本燃料)との中性子増倍度を測定し、予め数値計算で求められる濃縮度と中性子増倍度の関係曲線から濃縮度を評価する方法が認められ、2月に再検認された。

e.Y2K(2000年問題)対応

既に文部省、大学当局を通じて学内にこの問題についての対応確認を行うように指示がなされており、このうち原子炉施設に関しては原子炉本部で対象設備機器の掘り起こしと対応を進めている。計算機(機器組込みのプロセッサを含む。)については目下対応確認を個別に進めている状況であるが、一部記録計の日付印字に際して閏年対応が出来ない等の小さな問題点はあるが、それ以外の大きな支障は今のところ指摘されていない。 f.原子炉室ダンパーの更新工事の実施 原子炉室空調設備(給気系)のダンパーが老朽化してきたため、更新工事を2月に実施した。

平成10年度 共同利用テーマ一覧表(Kシリーズ)
平成10年度 共同利用テーマ一覧表(Fシリーズ)
平成10年度 弥生研究会一覧