概要
東京大学大学院工学系研究科原子力専攻・共同利用管理本部(別名 大学開放研究室 "Inter-University Laboratory for the Common Use of Nuclear Facilities")は、全国の大学の研究者に原子力機構(JAEA
: Japan Atomic Energy Agency)の各種の共同利用施設を用いて行う研究の機会を提供し、また研究をとりまとめるために存在しています。
東京大学大学院工学系研究科原子力専攻の本部は研究用原子炉「弥生」のあるキャンパス(〒319-1188 茨城県那珂郡東海村白方白根2-22)にありますが、共同利用管理本部は、日本原子力研究開発機構・原子力科学研究所に原子力機構内分室(〒319-1195 茨城県那珂郡東海村白方白根2-4 日本原子力研究開発機構原子力科学研究所内)を、国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所(〒370-1207 群馬県高崎市綿貫町1233 ⦅一財⦆放射線利用振興協会 高崎事業所
)に連絡所を設け、専任の職員をおいて研究のお世話に当たっています。
毎年の研究課題は、「原子力機構施設利用共同研究委員会」にて毎年の共同研究課題が定められて、公募が行われます。
公募は年1回行われますが、緊急の研究課題については、年度の途中から申請をすることも出来ます。
採択された研究課題は3年間継続出来ます。3年を経過したら、一区切りつけて研究成果報告書を提出していただきます。
同じ研究課題を更に継続する場合には、研究課題名に -I , -II のように番号を付して更新できます。
また研究成果を論文等で発表した場合には、その都度報告していただきます。研究成果発表連絡票のフォーマットはこのホームページからダウンロード出来ます。
現在行われている共同研究の課題を以下に示します。
・ | 原子核をプローブとする物理・化学研究 |
・ | 放射線とイオンビームによる物質構造の研究と改質・合成 |
・ | 放射線を用いた生物科学研究 |
・ | 中性子利用分析を用いた自然科学の究明 |
・ | 中性子利用分析によるライフサイエンスへの応用 |
・ | 中性子利用分析の多極化(α-ray truck etching,素材解析,手法開発等特殊な研究) |
・ | 中性子ラジオグラフィによる構造解析 |
・ | 中性子残留応力測定装置による材料評価 |
・ | その他 |
また、平成15年度からは「連携重点研究」を行っています。
これは過去15年間行われてきた「大学・原研プロジェクト共同研究」に替わるもので、大学の研究者が共通の課題について研究グループを構成し、原子力機構の研究者と緊密に連携して重点的かつ効率的に研究を推進していくものです。
原 子 力 科 学 研 究 所 |
JRR-3 (20MW) | 中性子ビームガイドホール | 中性子散乱 |
即発ガンマ線分析 | |||
中性子残留応力測定 | |||
中性子ラジオグラフィー(冷中性子) | |||
原子炉室 | 中性子散乱 | ||
中性子ラジオグラフィー(熱中性子) | |||
放射化分析(PN-3) | |||
水力照射孔 | 放射化分析 | ||
気送管 | |||
高 崎 量 子 応 用 研 究 所 |
Co-60ガンマ線照射施設 | Co1棟、Co2棟、食品棟 | 放射線化学 |
電子線照射施設 |
1号加速器 |
||
イオン加速器 | サイクロトロン | イオンビーム照射 | |
タンデム加速器 | イオンビームを用いた各種分析 | ||
シングルエンド加速器 | |||
イオン注入装置 |
東京大学大学院工学系研究科原子力専攻・共同利用管理本部・原研分室には、「放射化分析研究会」の事務局もあります。
放射化分析は、微量・極微量の元素分析を正確に行う手法として確立され、今では特別な専門知識や訓練を要求されることなく、比較的気軽に元素分析を行うことが出来ます。放射化分析は、宇宙・地球科学、環境科学、植物学、獣医学、医学、材料科学、考古学、など、元素分析が必要とされる全ての分野で利用されています。また元素分析に特別の標準を準備しなくても、放射化で測定にかかった元素については全て正確に定量することの出来る「K0標準化法」をも導入しています。