超伝導工学実験室

超電導体の電磁現象に関する研究と環境中における放射線線量評価手法についての検討を行うための実験機器系の整備が行われている。
具体的な実験機器は、ガンマ線線量計測やスペクトロメトリのためのNaIおよびBGOシンチレーションカウンター、ならびに中性子線量計測やスペクトロメトリのためのレムカウンタおよびボナーボール、さらに、中性子/ガンマ線弁別測定のために最近導入された大容量で高感度なNE213液体シンチレーション検出器などである。
高速中性子源炉である弥生を用いたスカイシャイン中性子線およびガンマ線を測定するために、本実験室で整備を行った機器が使われてきた。
今後も、より精密な測定のための各種装置の整備が行われていく予定である。

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  • 重イオン照射実験室

    金属材料の照射下組織発達のモデル化と表面改質、パルスレーザー及び高温高圧状態を活用した材料創製、レーザー・アブレーション法などで合成した酸化物結晶の照射下挙動と触媒特性評価、ハフニウムおよびジルコニウムの照射効果、超臨界水腐食試験装置を用いた超臨界水冷却高速炉用燃料被覆管の腐食試験等の研究開発を行っている。

    パルスレーザ蒸着により、化学組成を精緻に制御した薄膜生成が可能になっており、多様な鉄基合金の薄膜試料の作製を実施して、軽水炉圧力容器鋼中に含まれる不純物元素の挙動に関する物理定数測定が行われている。

    原子炉の照射劣化の原因となるミクロ組織発達について明らかにするために、収束イオンビーム加工機を用いてイオン照射材等をマイクロサンプリングし、透過型電子顕微鏡観察を用いて観察している。

    超臨界水冷却高速炉用燃料被覆管の開発に関する研究も行われており、超臨界水環境での腐食試験装置を用いて、候補材(PNC1520オーステナイトステンレス鋼)の腐食試験が行われている。

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  • 汎用実験室トリチウム工学実験室

    リチウム中水素同位体濃度測定装置を用い、鉄被膜付きチタン透過窓を通した水素透過の測定を行っている。
    高い透過特性を有するチタンに耐劣化性を与える鉄被膜を施すことで、水素濃度センサーとしての高適合性、下流側表面の良好な耐酸化特性を実現した。

    原子炉において中性子照射下トリチウム放出試験を行う「高温液体金属循環下水素透過測定装置」の中性子利用・トリチウム放出効率を向上させた改良パーツを作製し、炉外運転を実施したのちに原子炉に搬入した。

    国際核融合材料照射施設の液体リチウムターゲット循環系開発に係る「窒素回収試験用小型リチウム流動装置」では、液体リチウムの循環を向上させ、粒子状の窒素トラップを使用可能とする改修を施した。

    非循環状態での鉄チタン合金を用いた窒素回収試験においては、Fe-5Ti合金粒とリチウム間での窒素平衡分配則が明らかになり、併せてFe-10Ti合金がFe2Ti相の存在によってより高い熱力学的安定性で窒素を吸収出来ることが明らかになった。

    Na冷却高速炉用の中性子吸収材として提案されている水素化ハフニウムとナトリウム、さらに水素の透過漏洩を抑制するコーティングの共存性試験においては、700℃1000時間までの加熱試験を実施し、良好な共存性が確認された。

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  • 医療用小型ライナック室

    四つのX-Band 電子ライナックの開発が行われている。

    新型950keV可搬型X-band電子ライナック
    これは従来の950keVライナックの加速管の設計を見直し、X線のインテンシティを増強させたものであり、併せて電源周りも小型化・安定化させたものである

    可搬型3.95MeV X-Band電子ライナック
    大型構造物の非破壊検査用に開発されている。

    X-Band電子ライナックを用いた逆コンプトン散乱純単色X線源の開発
    電子ビーム入射器となるX-band熱陰極RF電子銃からの安定した電子ビーム発生を実現し、ビームライン最終までのビーム輸送に成功した。
    今後、電子ビーム加速とベンドマグネットの最適化、レーザー調整を行いコンプトン散乱によるX線発生試験を実施する。

    6MeV ピンポイントX線がん治療システム(ベンチャー企業(株)アキュセラと共同開発)
    がん組織のみを選択的に照射するため、3次元空間であらゆる方向からがん組織を照射する装置の開発を進めている。
    Xバンド帯域のマイクロ波を採用することにより、小型軽量化が図れ、これにより3次元的に照射することが可能となっている。
    さらに、本装置はがん組織形状に合わせたX線照射野形成、ピンポイント照射、電磁気的スキャン照射により、治療高速化を実現できる加速器装置の開発にも取り組んでいる。

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  • レーザープラズマビーム源室

    レーザープラズマ加速の一つであるレーザープラズマカソード(自己入射型レーザー航跡場加速)の研究に取り組んでいる。

    レーザープラズマカソードとは、従来の RF線形加速器とは異なる次世代の電子加速の手法である。
    パルス幅フェムト秒、出力テラワット以上の高強度超短レーザーパルスをプラズマ中に集光すると、レーザーパルスのもつ動重力 (ponderomotive force)によってプラズマ中の電子が振動し、レーザーパルス後方に航跡場と呼ばれる大振幅のプラズマ波が励起される。レーザープラズマカソードではこの航跡場によって電子を相対論領域まで加速する。

    この加速方式では、航跡場が高電場(~100GV/m)・高周波数(~100THz)であるため、加速器の小型化やフェムト秒の極短電子バンチの生成などが可能になると期待されており、特に医療用卓上型加速器への展開やフェムト秒の時間分解能をもつ時間分解測定(パルスラジオリシス法など)の実現に有用であると期待されている。
    さらに大強度レーザー実現に向けてKEKと連携し、ファイバーレーザーの研究にも取り組んでいる。

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