1.3 放射線の作用

放射線が物質にあたると、小石が物にあたるのと同じ衝突という現象が起こります。小石が衝突すると、土くれや水滴などが飛び散りますが、これは小石、土くれ、水滴などは物質の階層が同じだからです。放射線の衝突ではミクロの物質の階層がはじき出されるので、目に見ることが出来ませんが、その結果物質の状態が変化すると、放射線の効果が目に見える形で現れてきます。

放射線が物質にあたってはねとばされるものは多くの場合電子です。電子は原子核の周りを衣のように覆っているので、はね飛ばしやすいのです。

電子はマイナスの電荷を持っていますから、それがはね飛ばされたあとには原子や分子がプラスイオンとして残ります。このように放射線によって電子とプラスイオンが作られることを イオン化といいます。電子が放射線からエネルギーをもらったけれども、飛び出すほどではないようなはね飛ばされ方を 励起と云います。

放射線は「イオン化」と「励起」を何回も行った後、止まってしまいます。イオン化によって叩き出された電子はそれ自身が高いエネルギーを持っているので、これもイオン化や励起を起こすことが出来ます。こうして、放射線によって起こされるイオン化と励起は放射線が止まった場所に集中的に起こります。


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