1.6 人体への放射線の影響

ピエール・キュリー(1859-1906)とマリー・キュリー(1867-1934) "Radiation and Radioactivity on Earth and Beyond" (I. G. Draganic, Z. D. Draganic, J-P. Adloff) より引用

放射線の人体への作用については、これまで破壊的な側面が多く知られてきました。生涯を放射能の研究に捧げたマリー・キュリーは放射能を持った物質を実験着のポケットに入れていたために火傷を負い、また最後には白血病で死亡しましたが、それは、長年にわたる実験で放射線にさらされ続けた為と云われています。また、レントゲン撮影を医療に利用する初期の頃には、放射線障害で命を縮めるお医者さんが少なくありませんでした。昔は、放射線の影響に関する知識が十分でなかった中で、使命感に溢れた科学者やお医者さんはことさらに放射線を浴びることも多かったのです。

また、広島、長崎の原子力爆弾で十数万人の犠牲者が原子爆弾の熱風や放射線で死亡し、生き残った多くの人たちも放射線後遺症に悩んだという不幸な歴史体験の中で、放射線の害に関するデータが沢山あります。

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