トレーサー利用

 放射線測定器を使えば、どこに放射能があるのか僅かの量でも分かります。これも放射線が物を突き抜けやすい特徴と関係しています。

放射性の水素で標識をつけられた水
発信器で標識をつけられた野鳥の群

そこで、放射能を持たない普通の物質の原子の一部を放射性同位元素で置き換え、放射線を測るとその物質がどこに動いていったかが分かります。ちょうど野鳥の群の一部に発信器をつけて行方を追うのと同じです。

このような使い方をトレーサー利用と云います。トレーサー利用は科学の研究の全ての分野で広く行なわれています。例えば、工場のパイプラインでの材料の流れの様子を知るといった工学的な利用だけでなく、人間の血管の中の薬の流れ、色々な器官での代謝機能や反応などの研究に放射性同位元素は無くてはならないものです。

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